コラム「風」平成17年4月

柔らかに

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 「入学の子をうしろよりはげまし行く」(近藤一鴻(こんどういっこう))。期待と不安が混交した子ども達の気持ちと同様、親の気持ちも伝わってくる句です。柔らかな感情が沸いてきますが、皆さんはいかがでしょうか。

 さて、美郷町の各種事務事業も入学生と同様、新たな気持ちでスタートです。様々な分野の色々な事業について、旧町村の違いを統一し実施するもの、今年度中に調整・統一化させるもの、ともにこの四月から着手です。この仕分けは、個人の受ける行政サービスは極力統一化し、地域全体に関わる事業等は周知を含めて時間を掛けるという視点です。その中で、今年度統一化した事業については、基本的に制度を継続するものの、内容は事業目的等を踏まえ、柔らかな変化として認識していただける範囲の改正になるよう留意したところです。

 高齢者福祉制度を例にしますと、はり・きゅう・マッサージ施術費助成や敬老会開催、長寿祝金や介護手当の支給、温泉利用無料券などこれまでの制度はほぼ継続しますが、内容は対象者拡大を踏まえた視点で統一化を図っておりますので変更されております。様々なご意見があると思いますが、全体的には柔らかな変化のつもりです。

 こうした取り扱いの核心には、社会環境と財政環境の変化があります。例えば介護保険制度は今度大きな改正があります。私たちはこうした流れを見据えて、行財政運営に努めなければなりません。さらに、皆さんの気持ちを忖度(そんたく)して変化に対応しなければなりません。そのため、今年度は柔らかな第一歩にした次第です。皆さんには、こうした観点での取り組みにご理解とご協力をお願いいたします。

 今年は大変な雪で、自宅の竹も雪に埋もれてかなり撓(しな)っておりますが、折れずにがんばっています。柔らかさです。示唆に富んでいるように思います。私たちの美郷町が将来性のある町を目指すには、そうした柔軟性が大切のように思います。さあ、新たな年度がスタートです。

(広報「美郷」平成17年4月号より)

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