コラム「風」平成17年10月
財政再建
秋田県美郷町長 松 田 知 己
8月の国会解散から社会全般にサプライズ(驚き)が連続しておりますが、先月、美郷でも一つのサプライズがありました。財政指標の一つ、経常収支比率がなんと95.5%であることが分かりました。
経常収支比率とは、自治体の経営状況を示す一つの指標で、町村では70%が健全ライン、75%を超えれば警戒ラインと言われています。しかし昨年度は、警戒ラインを20%も上回る数値でした。私の行政経験では初めての異常な数値です。
原因は二つ。指標算出の分母となる財源(地方交付税などの収入)が、国の三位一体改革のため減少したこと。そしてもう一つは、分子となる経常的な支出が増加したこと。特に公債費(借金の返済)や物件費(委託料や使用料など)等が増えたためと分析しております。
合併は、行財政の体質強化によって支出を効率化させる目的がありますが、そのためには、人件費の圧縮(職員等の減少)や制度・事業の見直しが必須です。しかし、これらは短兵急に進められないため、一定の時間が必要となり、直ちにはその効果を現せない現状です。
一方、収入を大きくしたらいいだろうと、身の丈以上の借金をすればその先は本当に大変です(家庭に置き換えて考えれば瞭然(りょうぜん)です)。ちなみに合併時点での借金等は旧千畑町が103億円、旧六郷町が61億円、旧仙南村が79億円で計243億円でした。さらに昨年度分の増加分を加えると245億円になります。真剣に財政再建が必要です。
美郷を次世代にいい状態でバトンタッチしていくため、今から体質改善をしていきます。もちろん取り組むべきはしっかり取り組みます。しかし、見直すべきは見直します。その姿勢でがんばりますので、どうかご理解とご協力をお願いします。
町長としては、いろんな要望に「やります!」と言いたい所ですが、先を見通した判断も責任の一つです。例えば食欲の秋、欲に任せていっぱい食べて太るのも「今」、何とか程々で抑えて体重を維持するのも「今」と言うとき、どちらを選択するのかと本質的には同じかも知れません。
(広報「美郷」平成17年10月号より)