コラム「風」平成18年5月

意思の具体化

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

   晴天、雨天の変化が忙しい春ですが、自然の営みは着実に前進しています。雑然とした我が家の庭にも草木の緑が広がり、現在進行形で心癒(いや)す空間が拡大中です。春しか持ち得ない変化、楽しみたいものです。

  さて、こちらは残念な変化です。マイナス440。16年11月末から18年4月までの町の減少人数です。月平均で28人となります。国立社会保障・人口問題研究所が発表した推計では、秋田県が過疎化・高齢化のトップとのことで、美郷だけの問題ではありませんが、こうした流れには何とか歯止めをかけたい、そんな気持ちになります。

  町としてはそうした気持ちを含め、町の将来人口を推計人口より上に設定しています。「推計どおりには減少させないぞ」という意志表示です。そのために福祉や教育、産業、生活環境など各般にわたり施策を展開し、次世代にも住み良い美郷づくりに取り組んでいるところです。

  一方、人口減少に歯止めを掛けるには、町外からの定住も大切です。その促進には美郷の実態がしっかりしていることが前提ですが、まずは生活に関連する様々な情報を提供するとともに、土地や住宅など現実に住むための情報も発信していくことが必要ではないかと思います。

  そのため、町のホームページでの各種情報提供に加え、今年度から新たに空き家や空き地などの住居・土地情報を提供する取り組みを展開していくことにしました。もちろん空き店舗等も対象です。本号でその事業紹介をしておりますので、みなさんには事業趣旨にご理解いただき、情報提供等にご協力をお願いいたします。成果の程はなかなか推計できませんが、まずは具体的に動かないことには何も始まりません。

  今年と来年は、自転車とバドミントンの一流選手が全国から来町します。こうした情報に触れて、もし美郷への定住に繋がったら・・・。いつも厳しい現実に対峙(たいじ)しながら仕事をしていますが、こんな夢を見ながらの仕事も大切です。何と言っても乙女座生まれですので・・・。

(広報「美郷」平成18年5月号より)

 
このページに関する情報