コラム「風」平成18年10月
感じて動く
秋田県美郷町長 松 田 知 己
「食欲の秋」、「読書の秋」、そして「スポーツの秋」です。しかし、朝晩の冷え込みにその短さを実感し、「何かしなきゃ」と急(せ)き立てられる思いですが、最初の「秋」には、後悔を伴わないよう注意しましょう。
さて先月、シンクロナイズド・スイミングW杯が開催されました。団体で銀メダルを獲得しましたが、その演技に理屈でない感動を覚えるとともに、その努力に「俺もがんばろう」という勇気をもらいました。
書家の相田みつをさんに「感動とは感じて動くこと」という作品があります。「動くこと」のきっかけには勇気があり、その勇気は感動が喚起してくれる、言い換えれば「感動とは(勇気を)感じて動くこと」ということではないかと、勝手に解釈しているところです。
従って、人は何歳になっても何かに感動する柔らかい心が必要と思う訳ですが、先日、ある施設の敬老会で涙を流して喜んでいる方に接しました。きっとその涙にはいろんな感動が込められているんだろうと忖度(そんたく)しましたが、私はその率直な感情発露に逆に感動しました。
私たちの日常生活には、きっとたくさんの「感動の種」があります。そしてその種は、人との交流や自然との触れ合い、読書や音楽、絵画など芸術文化との触れ合いの中で見つけ出されていくのだろうと思います。そのため、町のいろんな催し物も複眼的意識をもって開催しているつもりですが、先日開催した敬老会もこうした催しの一つでした。
敬老の気持ちの伝達を一義にしながら、「まめだが」、「おめはよ」という会話などに、今日の充実感と明日への勇気も得ていただきたい想いでしたが、思ったよりは少ない参加状況でした。今年は、昨年の反省を踏まえて内容を変更しましたが、来年は更に検討を加え、複眼的に意義を深める敬老会を目指してまいりたいと思っているところです。
そして、今月は「美郷フェスタ」があります。人との交流や農産物、芸術文化等との触れ合いで、それぞれの感動の種を見つけ出していただきたいと思います。皆さんのご来場を心からお待ちしております。
(広報「美郷」平成18年10月号より)