コラム「風」平成19年7月
望ましい距離
秋田県美郷町長 松 田 知 己
ラ・ニーニャの影響と目される好天のお陰で、今のところ農作物は全体的に順調です。そのまんま・・・順調に行ってもらいたいものです。
さて、農家であればご存知のように、稲は栽植密度により生長に違いが生じます。栽植密度を高くすると稲はひょろっとなり、低くすると逞しくなります。密度の低い栽培は稲が光を受けやすく、栄養を吸収する根圏も広くなるためと考えられますが、だからと言って収量が多いとは限りません。適切な栽植密度、つまり適切な稲株間の距離で単位面積当たりの本数を確保することが、より良い結果に繋がります。
この話、決して水稲だけの話ではありません。人にもパーソナル・スペースという、それ以上近づくと不快に感ずる物理的な距離があると言われています。しかし、離れすぎの関係も親近感や信頼感を生みません。コミュニケーションで成立している人間社会ですので、良好な人間関係を形成するには、やはり相手と良好な意思疎通を図れる適切な距離に留意することが大切ではないかと思うところです。
それでは、住民と行政の距離はどうでしょうか。いい町になるにはやはり良好な意思疎通を前提とした、適切な距離があるだろうと私は思います。一般論として、住民と行政には距離があると言われています。やはり、まずは近づける努力が必要です。そのため、私としてはこれまで極力町内の行事には出席するように努めてきたほか、本欄や行政座談会での情報提供等を通じ、より近い行政になるようめざしてきました。
更に今年度は、七月から九月にかけて各行政区を単位とした「やまびこ座談会」を新たに実施することにしました。地域の会館等に気心の知れた方々が集い、ひざを交えて意見交換をすることで行政との距離感を小さくし、望む町づくりに一緒に進んでいきたい気持ちです。希望する行政区に私どもが伺いますので、どうか皆さんには行政区内でご検討いただき、行政協力員を通じて申し込みいただきたいと思います。
やっぱり美郷は、小さい合併であるが故に近さを求めたいものです。
(広報「美郷」平成19年7月号より)