コラム「風」平成20年3月
守るために
秋田県美郷町長 松 田 知 己
例年並の難儀をした今年の冬も、いよいよ出口が見えてきました。早く、「春よ来い」です。普通、春待月は陰暦十二月、つまり一月を指しますが、生活実感としては三月こそ春待月という感じがしますがいかがでしょうか。
さて、その「春」と言う季節、あらゆる命が躍動する明るさを感じさせますが、先般、正反対の印象の本を読み返しました。「沈黙の春」。殺虫剤などの化学物質が環境に及ぼす影響について世に問うた、レイチェル・カーソン氏の名著です。中国産ギョーザの件があって久しぶりに手に取りましたが、改めて環境保護の大切さを再認識しました。
環境保護の観点では、昨年は地球温暖化に警鐘を鳴らしたアル・ゴア氏の「不都合な真実」が脚光を浴びました。また、今年は現在上映中の映画「アース」が注目を集めているとのことで、自然環境に対する意識が着実に高まっていることを感じますが、こうした意識の必要性は、決して他人事ではありません。私たちの生活も、その核心に自然からの恩恵があって成り立っている現実があるからです。だからこそ、私たちは身の回りの環境保全に意識を持つとともに、できることは自ら実践しなければなりません。
町では、その中心的要素である水環境について、三月の定例議会に啓発を目的とした保全条例案を提出します。自然からの無限の贈り物である一方、いろんなバランス機能で維持されている有限の贈り物の「美郷の水」を次の世代にバトンタッチしていくため、皆さんで共通認識を持って各般の取り組みを実践していきたいものです。
また、増加傾向の生活系ゴミも大きな環境問題です。温暖化や資源枯渇などに直結するからです。そのため、この四月から適切な分別や資源化などに向けてゴミ処理有料化に踏み出します。皆さんの負担も伴いますので大変と存じますが、ご協力をお願いいたします。
この美郷がいつまでも誇れる美しい郷であり続けるよう、そして心豊かな生活を営み続けられるよう、少しずつの皆さんの力で大きな流れをつくっていきましょう。
(広報「美郷」平成20年3月号より)