コラム「風」平成20年4月

磨くことで 

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 以前、テレビドラマとして話題を集めた「のだめカンタービレ」。原作は、現在も連載中のベスト・セラー漫画です。ピアノを習っている娘に引っ張られ、私もファンになってしまいましたが、きっと町内にも「のだめ」ファン、いらっしゃることと思います。

 性格的に破天荒な「野田めぐみ」さんが、国内のみならず、国外でもいろんなことを経験し、悩みながらピアニストとして成長していく物語ですが、随所に音楽的知識も詰め込まれ、改めて音楽とは何かを考えさせられます。その思慮をぎゅっと濃縮すると、「音楽とは心の表現だ!」と、芸術家の岡本太郎氏のような言葉が出てきますが、ではその心をどう磨くのか。それが難しく、各分野での努力の核心はそこなんだろうと思うところです。

 そしてそれは、行政分野も同じです。住民のために存在している行政としてどうあるべきか。みんな、悩みながら仕事に携わっていますが、きっとその悩む心を磨いていくのはいろんな経験です。その経験の一端が人事異動で、さまざまな部署での経験が行政マンとしてのセンス、つまりは心を磨いてくれるものと私は思っています。

 「のだめ」のように外国までとは行きませんが、できるならもっと大きなチャンスで職員センスを磨いてもらいたい。そんな想いで、これまで私は他の行政機関との相互人事交流を進めてきました。十八年度からは厚生労働省と、十九年度からは秋田県と人事交流を行ってきたところですが、さらに二十年度からは東京都大田区とも人事交流を始めます。

 こうした町を越えた人事交流は、派遣された職員のみならず、受け入れる職員にもプラスの影響を与え、美郷町役場全体がいずれ変わっていくだろうと期待もしているところです。それに美郷に来られた方々は、絶対、サポーターになってもらえますので、美郷を外から磨いてもらうことにも繋がっていくものと思っているところです。

 さてもう四十半ばの私。どうも最近、体が錆付いてきている感じです。心とともに体も磨かないといけません。なになに、まずはメタボ腹からでしょって?そのとおりですよ!

(広報「美郷」平成20年4月号より)

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