コラム「風」平成21年2月
なければならないもの
秋田県美郷町長 松 田 知 己
例年に比べて随分と積雪は少ないですが、ようやく冬らしい景色になりました。何となく心落ち着くのは、やはり冬には雪がなければならないと言うことでしょうか。
さて、世の中には「あればいいもの」と、「なければならないもの」があります。今、目の前にあるものが果たしてどちらなのか、考えてみると案外難しいものです。では、何故難しいのか。それは、そのものの価値が状況や環境に応じて変化していく、いや成長の度合いによって意味合いが変わっていくから・・・だろうと私は思います。
昨年、NHKで自動車の販売レディーを主役にしたドラマがありました。私の好きな女優さん、夏川結衣(なつかわゆい)さんが主役で、ご覧になった方も多いだろうと思います。あの時代、日本の高度成長期は、自動車は庶民にとって高嶺の花で「あればいい」の存在でした。しかし、今や「なければならない」存在になっています。まさに社会環境の変化、成長です。
行政もそうした環境変化を見通して、施策展開していかなければなりませんが、現在取り組んでいる「予約制乗合タクシー」は、その認識での取り組みです。今後も進展する高齢化を見通し、必要最低限、交通弱者の足を低料金で確保することで、できる限り外出しやすい環境を構築したい考えです。そのため、単なる廃止バス路線の代替ではなく、町内全域を範囲にしております。しかし、ここは大切な点ですが、通常のタクシー事業とは全く趣旨が違うということです。そのため、自由に乗り降りできる通常のタクシーのようには運行できません。更に、残存のバス路線が撤退しないような配慮、制約もあります。
予約制乗合タクシーの運行には、それなりの町予算が必要です。「あればいい」制度から「なければならない」制度に成長していくには、多くの皆さんのご利用が不可欠です。この事業の意味合いと制約にご理解いただき、どうかご利用いただきたいと思います。
本欄も、「あればいい」欄から「なければならない」欄に成長していかなければなりません。私も♪がんばらなくちゃ〜、がんばらなくっちゃ、がんばらなく〜ちゃ〜♪です。
(広報「美郷」平成21年2月号より)