コラム「風」平成21年4月
そのこころ
秋田県美郷町長 松 田 知 己
年度始めの四月。朝の連続テレビ小説だけではなく、あちらこちらで入学や就職などによる新たなドラマが始まりますが、私ども美郷町も今、新たなドラマの始まりに立ちました。今月号の広報で取り上げております公共施設と学校施設の再編整備が、それです。
このことは、合併に伴う大きな課題としてかねてより協議を重ねてきましたが、この度、町議会と共通認識を得て、その内容を皆さんに提示する段階に至ったところです。
そこで、改めてその目的を説明します。大きくとらえて言うと、公共施設の再編整備については、縮小せざるを得ない財政環境の中、絶対に必要な行政サービスや行政施策の展開を将来も可能とするよう、政策経費を確保するためです。身の丈を超えて同類施設を多く抱えることは、維持管理経費もその分多くなり、結果的に政策経費にしわ寄せがいくことになります。
また、学校施設の再編整備については、少子化が進む中、子供たちにとって望ましい教育環境、つまりはある程度の人数規模の中で、バランス感と自律性に富んだ人に成長していくよう、クラブ活動を含めて切磋琢磨や協調、自己発現や自己選択の幅を担保するためです。当然、小規模校の良さもありますが、さまざまな価値観が存在し、その中で立つ位置を見つける大人社会を見通した場合、いろんなことを広く経験しながら、経験から学ぶ賢さを身に付けやすい環境にするのは、大人の責任だろうと思います。
この度の内容については、ともに施設規模や建築年次などに留意するとともに、大局に立っての三方一両損的な地域バランスにも配慮しています。つまり、規模が大きく新しい施設にできる範囲でまとめるとともに、町全体ではどの地域も平等にちょっと我慢してもらうように注意したということです。そのこころは、道理を基本としながらも、人情にも配慮して町の一体化を進めたいという想いです。どうかご理解をお願いいたします。
通常、ドラマは波乱万丈のストーリーが面白いわけですが、このドラマに限っては、沈着冷静にストーリーが展開されるよう、丁寧に話を進めてまいりたいと思います。
(広報「美郷」平成21年4月号より)