コラム「風」平成21年6月

きっかけと縁

秋田県美郷町長 松 田 知 己  

 「旅ゆけば〜、駿河の国に茶の香り〜」。ご年配の方はこのフレーズ、懐かしいのではないでしょうか。そうです。浪曲「次郎長伝」の出だしです。学生時代、銭湯に通っていた私は、銭湯に付き物の富士山の背景画を眺めては玉川良一ばりに口ずさんでいたものです(もちろん心の中でですが)。それが最近、時を越えてマイ・ブームとして復活です。

 と言うのは、現在、我が家の風呂に「ミニ富士山」があるからです。東京都浴場組合が作成した家庭用のお風呂に貼れる富士山背景画、それをある方から頂いたからです。では何故、そうした背景画を頂いたかと言いますと・・・。

 先日、東京都大田区の公衆浴場組合の例会に出席させてもらいました。目的は、町特産品を大田区内の公衆浴場で取り扱ってもらうためのプレゼンテーションです。町では昨年、大田区主催の「おおた商い観光展」に参加させてもらいましたが、その際、公衆浴場組合の支部長さんと町職員が知り合いました。その縁で現在、支部長さんが経営している公衆浴場で漬物やサイダー、お酒など町特産品を取り扱ってもらっております。風呂上りにちょいと漬物をつまみながらサイダーなどで喉を潤すのが好評なようで、「傘下のお風呂屋さんでも取り扱ってもらったら」との支部長さんのご配慮で、PRに努めてきた次第です。お陰さまで、いくつかのお風呂屋さんから引き合いがありました。また、いくつかの公衆浴場では「美郷米ポスター」も掲示してくれるなど、少しずつ町特産品が大田区内に浸透していっております。物産とともに美郷の情報も発信です。ありがたいことです。

 物事にはきっかけが必要で、そこに縁が重なって、良い展開に向かっていくものだろうと思います。今回は商い観光展に参加したことがきっかけとなり、公衆浴場組合支部長さんとの縁で、取り組みが拡大していきました。そうしたきっかけも縁も、基本はやはり「行動」です。今後も身の丈を認識しながら、先を見据えて行動に努めたいと思います。もちろん、ミニ富士山の背景画があるお風呂でリフレッシュしながら・・・。

(広報「美郷」平成21年6月号より)

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