コラム「風」平成21年8月
節目
秋田県美郷町長 松 田 知 己
「もう若くないかなあ」。先月、自分の不注意で思いのほかの怪我をし、感じました。そのため、お招きいただいた催しなどに私自身の出席が叶わず、皆様には謹んでお詫びを申し上げます。漫画「いなかっぺ大将」のニャンコ先生のような、「キャット空中三回転」的反応が難しい体になってきているようです。年齢は正直というところでしょうか。
さて、今月はこうした私と対極にいるみなさん、体にキレのある二十歳の方々を対象とした成人式があります。今回は美郷町として5回目で、合併前の旧町村立中学校として最後の卒業生のみなさんが対象です。節目と言える今回、感慨深いところです。
「成人式」。私はもう26年も前のことになります。その時の思い出は、ん〜、残念ながら記憶の第一は同級会、第二が式典です。新成人にとって成人式は、旧交を温める機会の一つと言うのが正直なところかも知れません。しかし、その後、いろんな経験をしたおじさんには、成人式に求めるべき意義というものが徐々に見えてくるもので、現在、主催者側になっている私には、やはり成人式に求めたいことがあります。
人生は、誰もが等しく一回きりです。だからこそ、その人生を味わい深くしたいと願う訳ですが、その実現には、間断ない時間の中で、立ち止まって過去を振り返り、その上で未来を見つめる機会が必要です。その最初の大きい機会、節目と言えるのが成人式だろうと私は思っています。私が求めたい美郷町成人式の意義。それは過去の自分の総括と未来の俯瞰。どうか対象者のみなさんには、成人式という節目、二十歳の感性と感受性でそれぞれ思慮してもらいたいと思うところです。
もし、タイムマシンで「好きな時に戻れる」と言ったら、いつに戻りたいか。私は二十歳の頃です。お金はなくとも何にでも挑戦できる頃でした。そして体も「はんで」がきいて、きっと今回のケースだって怪我は回避できた・・・なんて思いますが、そんな妄想よりは、怪我を踏まえた反省と今後の注意、充分にしないといけませんね。
(広報「美郷」平成21年8月号より)