コラム「風」平成22年5月
勇気と馬力
秋田県美郷町長 松 田 知 己
先日、ご招待をいただいてわらび座のミュージカル「アトム」を観劇してきました。題材はみなさんもご存知、漫画界の巨匠手塚治虫氏の「鉄腕アトム」。手塚治虫ファンとしては、どういう劇になるのか興味津々で伺いましたが、素晴らしい内容で感動しました。
ミュージカルのテーマは、人それぞれの解釈でしょうが、私は「心」と理解しました。真に大切にすべき心は何か。そしてその心を保ち続けるためには何が必要かを考えさせる劇でした。詳しい解説はご覧になる人に迷惑ですので控えますが、心に残ったのは一時(いっとき)の感情や思い込みは大切にすべき輪郭をぼかしてしまうこと。そしてそれと同時に、正しいことには勇気を持って臨めば、そのことは必ず人の心に通ずるということでした。
さて、美郷町は今年に入り、公共施設再編や学校統合に着手しました。関係者は、ともにある意味で勇気を持って臨んできたつもりです。そのお陰かどうかは分かりませんが、一部の方が当初お持ちだった一時の感情や思い込みなどは徐々に和らぎ、概ね円滑に推移してきております。正直、ほっとしています。しかしそれも束の間、今度はさらに大きな勇気が必要な課題が目の前にきました。空いてくる学校施設の活用方策です。
望ましい成長を基点においたこの度の学校統合では、結果的に6つの校舎が空いてきます。気持ちの詰まっている施設ですので、より地域の声を大切にしながら慎重に議論を深めるつもりです。しかし、使い方の重複などを避けるために、地域のみならず町全体としての議論が必要です。そのため、地域と町全体の両方の視点を併せ持つ「住民検討委員会」を設置して議論を深めていくことにしました。今月中に設置したいと考えております。みなさんには、こうした取り組み方と今後の議論にどうかご理解をお願いいたします。
この度の空き校舎の活用方策、まとめていくには大きな勇気とともにさまざまな課題を乗り越えていく馬力も必要です。鉄腕アトムほどの馬力は望みませんが、私もさらに馬力アップしたいと思います。さ〜て、なにで馬力をつけましょうか・・・。
(広報「美郷」平成22年5月号より)