コラム「風」平成22年11月
それが一番大事
秋田県美郷町長 松 田 知 己
「あの時にやっておけば良かったなあ」。こんな反省は、誰しも経験があることだろうと思います。ですから「後悔先に立たず」とか「転ばぬ先の杖」といった格言もあるわけですが、分かっていながらなかなかできないのも「人」。「だからこそ人生に味わいも生まれるんだ」なんて嘯(うそぶ)きたいところですが、事柄によってはそんな呑気に構えてはいられないことも確かにあります。
町が今年6月議会で予算確保し、中学生を対象に8月から実施している子宮頸がん予防ワクチン接種はその一つ。ワクチンで完全予防できるわけではありませんが、予防効果が高まるのであれば、科学的な知見に基づき、効果を期待できる年代に的確な対応をするのが「転ばぬ先の杖」。そのため、経費の3分の2を助成、接種しやすい環境整備に努めたところです。その結果、9月末現在の1回目接種率はほぼ9割という状況です。改めて、保護者の健康に関する意識の高さや子を思う気持ちの強さを実感しているところです。しかしながら、では保護者年代の方々ご自身のがん予防についての意識はどうか、というと必ずしも同じ意識とは言えない状況があるようです。
私は今年度から県総合政策審議会委員を拝命するとともに、その内部部会の「いのちと健康を守る安全・安心部会」に所属し、意見を述べさせてもらっていますが、その中には「総合的ながん対策の推進」というテーマもあります。残念なことに統計では県民のがん検診受診率は低下しているとのこと。これには様々な要因が絡んでいると思いますが、やはり一義的に大切なのはご自身の受診意識です。その啓発のために毎年9月を「がん征圧月間」としていますが、みなさんにはそれ以外にもいろんな機会をとらえ、がん予防や早期発見のための検診に認識を深めていただきたいと思うところです。
と言うことで、来月になれば来年度の早朝セット検診についてご説明することになると思いますが、その際には「がん検診」を意識してください。何より大切なことは、やはり健康についてです。「♪それが一番大事」ですから。
(広報「美郷」平成22年11月号より)