コラム「風」平成22年12月
定番づくり
秋田県美郷町長 松 田 知 己
12月に入ると、FMラジオで必ずと言っていいほど流れる曲。山下達郎さんの「クリスマス・イブ」、私はファンの一人ですので時期に関係なく聴いていますが、山下達郎さんを知らない方もきっとこの曲のイントロを聴くと、「あ〜、あの曲ね」と分かると思います。そうです、この時期の定番曲です。
しかしおもしろいもので、時期に合わせた「定番」と言われるものは、普段は忘れていてもその時期や状況になると、ひょっこりと自然に顔を出してきます。前出の曲以外では、この時期の食卓の定番は鍋物ですし、左党の定番は熱燗だろうと思います。また、お茶うけの定番は燻(いぶ)りがっこではないでしょうか。
こうした「定番」については、習慣的なことから「この時期だったらこれだろう」と自然に認識されてきたものもあれば、誰かが何かのきっかけから創り上げてきたものもあるだろうと思います。食事に関するものはきっと前者ですし、音楽やファッションなどは後者だろうと思いますが、いずれにしても「定番と認識されること」は重要であると思うところです。なぜなら、定番と認識されることは「特徴的な個性」だからです。では「時期」を「地域」に置き換えて考えてみたらどうか。やはり成り立ちますし、私の立場では成り立たせなければならない課題でもあると思っています。「地域の定番」と言っていただけるものは地域の特徴的な個性であり、そしてそれがお土産になるからです。
そうしたことから町では先般、既に認知されている「美郷の定番」、日本酒やサイダーのほかに、燻りがっこなどの漬物や味噌・醤油、りんごジュースや菜種油などを掲載した「美郷の特産品カタログ」第一弾を作成しました。「美郷と言ったらこれが定番でしょう」と言ってもらえる定番づくりを、町内に加えて大田区などの消費者にも仕掛けていきます。
現在、道の駅などにもそのカタログを置いていますので、みなさんも美郷の定番づくりにどうかご参加ください。・・・ちょうど今が、お歳暮の時期ですから・・・。
(広報「美郷」平成22年12月号より)