コラム「風」平成23年7月

伝と感動と実践と

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 先日、金沢西根地区の神社のお祭りがあり、亡父の姉妹が実家に集いました。毎年の恒例です。なかなか一堂に介する機会がないようで、四方山(よもやま)話に花を咲かせていましたが、その中で私の祖父と父、そして私の類似点の話がありました。

 昨年少しがんばったダイエットのおかげで、しばらく同じ体型を維持している私は、最近も「痩せたな」と言われることがあります。「以前いくら太っていたんだ」と思いながら「頬がこけたからだろうな」と自分では分析しています。しかしこれは、これから太ったとしても変わらないだろうと思います。祖父と父からの遺伝だからです。仏間にある遺影がそう語っています。一方、「これだけは勘弁して」というのが髪の毛です。これは何とか遺伝から逃れたい思いです。

 さて先日、別の意味で遺伝子を実感することがありました。こちらは秋田県民としての遺伝子の実感です。きっとご来場された方も同様だったはずです。町公民館で開催した陸上自衛隊東北方面音楽隊コンサートでの『大いなる秋田』第三楽章と第四楽章。久しぶりにすべてを聞きました。ぼんやりしていた秋田県民としての遺伝子をビリッと刺激されました。「俺はやっぱり秋田県民だ」という自覚とともに「よし秋田県民がんばるぞ」という力が湧いてきました。原発事故の見通しや国政の体(てい)たらくなど、なんとも力の出ない状況でしたが、改めて「批判よりまず自分ががんばれ。それが秋田県民だ」という喝を入れられた感じでした。

 書家であり詩人の相田みつを氏に「感動とは感じて動くこと」という作品があります。もらった感動を実践につなげる価値観に立つならば、やはり動くことが大切です。しかし、将来を思慮して「変化」を選択しても、全員が同じ価値観に同時に立つことが難しいのも現実。そこで発揮されるのが、県民の代表的な遺伝子「粘り強さ」。難しい課題ほど粘り強さが必要だろうと思いますが、現在の難しい課題の一つ、それが赤字軽減に向けた町内3ヶ所の温泉の経営統合問題。いずれ具体案をまとめて皆さんに提示いたしますが、納豆を食べながらがんばっているところです。

(広報「美郷」平成23年7月号より)

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