コラム「風」平成23年8月

望ましい環境

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 「一途な努力は裏切らない」。信仰に近い私の思いの一つですが、先般、大相撲の華王錦(かおうにしき)がこの思いを現実にしてくれました。苦悩もあったでしょうが、精進を重ね、念願の関取です。あっぱれです。改めて華王錦の精神力に敬意です。

 こうした精神力の鍛錬には、生きることの哲学とともに、取り巻く環境も大きな影響を及ぼすと私は思いますが、きっと華王錦は、揺ぎない自らの人生観を持ちながら、育ててくれた周りの環境にも恵まれていたのだろうと思います。

 さて、こうした周りの環境の大切さはすべてに共通します。とりわけ教育は、環境が特に大切なことは申すまでもありません。そのため町では、少子化が進んでいる状況を踏まえ、望ましい子供の教育環境を見据えて小・中学校の学校再編を決定し、これまで準備を進めてきているところです。その上で今年度は、老朽化している六郷幼稚園・保育園(わくわく園)の新築作業にも着手いたします。

 わくわく園については、かねてより耐震関係も含めて何らかの対応が必要でした。補修も選択肢ですが、望ましい教育環境を考えると、事業費は嵩(かさ)みますが新築が望ましいとの判断に立ち、昨年度は新築を前提に町内5カ所の候補地の調査を実施しております。その結果、中学生や高齢者との交流機会や建築しやすい土地条件などの観点から、現在の六郷中学校野球場に新築することに決定し、間もなく設計作業に入ります。ちなみに、六郷中学校野球場は狭くて基準を満たせないため、美郷中学校の野球部は美郷町野球場を利用することになっています。

 孟子(もうし)の母が孟子を育てる時、教育を考えて三度引っ越ししたことに由来する孟母三遷(もうぼさんせん)。やや広い解釈をすれば、わくわく園の移転新築もいわば教育環境を選ぶ点で共通です。選択した場所はきっと子供たちの教育・保育に良い影響がありますので、心豊かに成長できる新わくわく園の整備をめざしたいと思います。

 さてさて、望ましい環境が大切なのは私も同じ。休みらしい休みを取れない私は、これから冷たいビールとお酒でしばしの安息環境を確保したいと思います。

(広報「美郷」平成23年8月号より)

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