コラム「風」平成24年7月
刺激と変化
秋田県美郷町長 松 田 知 己
先日の東京での仕事帰りのことです。帰りの新幹線まで多少の余裕があったので、上野に行ってきました。上野には美術館が集中し、行けば何らかの絵画鑑賞ができて刺激をもらえると思ったからです。しかし、結果的に美術館には行きませんでした。それ以上に興味を引くイベントがあったからです。
入口には大きな氷塊と奥には多数の氷像、また周辺には氷に関する出店と展示などなど。理系のつもりの私としてはムクムクと好奇心が湧き上がり、その会場に足を踏み入れた次第です。
「純氷まつり」と題したイベントでしたが、いろんなテントがある中に一つだけ周囲を幕で囲ったテントがありました。「何だ?」と思い恐る恐る中を覗いてみたら、氷塊に強い光をあて、その変化を観察する展示でした。結論を言えば「びっくり」でした。氷ですから光は透過し、初めは何もない状態でしたが、なんと徐々に氷の中に花弁(はなびら)が生まれてくるではありませんか。それがまた綺麗(きれい)な形でしばし見とれていましたが、その花弁、「チンダル像」と言うそうです。強い光が表面のみならず内部も融解させ、氷の中に結晶様の内部変化をもたらすとのこと。日ごろ理系のつもりでいた自分が恥ずかしくなりました。と同時に「これはまさにこれからの美郷だ」と直感的に思いました。
美郷町はこれまで、どちらかというと内部の方々の内部エネルギーによって変化を果たしてきました。それはそれで一定の成果を挙げてきていますので良いのですが、客観的に「いい町」に成長するにはやはり外の目、外からの刺激も大切です。町の現状からすると、外部刺激を受けて内部変化していく観点を徐々に意識していく段階ではないかと思っているところです。
ではその外部刺激、誰に求めるべきか。高い見識と美郷への熱い想いをお持ちの方・・・。やはり、まずは美郷大使です。そういう意味も込めて、町では7月30日、2回目になる「美郷大使鼎談」を開催いたします。皆さん、是非会場に足を運んでください。そして大使の発言を刺激に、新たな変化に向けた意識共有を図りたいと思います。ご来場お待ちしております。
(広報「美郷」平成24年7月号より)