コラム「風」平成24年10月
嬉しい
秋田県美郷町長 松 田 知 己
今夏はオリンピックを皮切りに、ずっと「あつさ」の連続でした。まずはオリンピック。メダルに関わらず「素晴らしい」の一言。その後はパラリンピック。車いすバスケットでは、千屋出身の藤井新悟氏が前回同様主将として活躍。私たちを熱くしてくれました。そしてお天気。本当に暑かった〜。そんな状況が続いての9月中旬、私は秋田市でまたまた熱くなりました。
「エリアなかいち」。先般、旧日赤病院などの跡地一帯にオープンした複合施設です。新県立美術館や秋田市の公共施設、商業施設などが整備されており、商業施設には近畿圏を中心に全国展開している食品小売店が入っています。そのお店、個性と味に力点を置いて品揃えをする本物志向で、流通業界では一目を置かれている存在です。ふらっとそこに入った私は、そこで「秋田県美郷町産あきたこまち」の袋に入ったお米を見つけました。しかも「店長いち押し」というシールを貼ってもらってです。県産米では唯一の取り扱い品目で、私はその場で暫し、嬉しさと仕事の達成感を噛みしめました。
町ではこれまで、美郷産米を「美郷米」として力を入れて売り込んできました。もちろん農業団体と連携のもとです。町が取り組んだ理由は、一つ目がブランド米にすることで農業所得を向上させること。二つ目が主要農産物である米を通じて全国に美郷町の名前を売ること。三つ目が米を通じて人と人の交流を創るためです。実は「なかいち」に入っているお店は、そんな思いを持って売り込みに行った会社の一つでした。既に近畿園や首都圏で「秋田県美郷町産あきたこまち」という袋で販売されていることは確認していましたが、地元秋田の新店舗で扱ってもらえるとは思っていませんでした。
「努力は報われる」。私がずっと大切にしている言葉です。信念と言っていいかも知れません。しかし、すべてが報われるほど「世の中は甘くない」ことも充分知っています。だからこそ、たまにこうした事例に出くわすと心から嬉しくなるし、次の展開に新たな熱さを持ってしまう単純な私でした。
(広報「美郷」平成24年10月号より)