コラム「風」平成24年11月

8回目の誕生日

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 夏の余韻(よいん)を背負いながら稲刈りを無事に終え、これから「豊穣(ほうじょう)の秋本番」と思っていたらストンと気温が落ち、冬の足音さえ感じる頃となりました。もう少し、紅葉(こうよう)をはじめとする秋の余韻、楽しみたいと願うところです。

 しかしその紅葉、今年は例年より遅く、発色もいま一つとのこと。みなさんの目にはどう映っているでしょうか。「今年の異常気象じゃ、そうかもね」と思うところですが、やはり植物には気象経過は大切で、その経過が必ず何らかの形で表に出て来るのだろうと思います。そんなことを考えていた先般、「人も同じだよな」ということを、改めて実感するテレビ番組を見ました。

 みなさんの中にもファンがいらっしゃると思いますが、俳優の高倉健さん、渋くて格好いいです。先般、NHKで特集番組が放送されましたが、ストイックに仕事に取り組み、妥協をせずに生きてきた過去は、高倉健さんが醸し出す存在感につながっています。また、何より顔にすべてが表れているように思います。みなさんはそう思いませんか。やはり「過ごした時間の質」は、必ず何らかの形で表に出て来るのだろうと私は思っているところです。

 ところでこうした過去と現在の関連性、言うまでもなくすべてに共通です。植物であれ人であれ、そしてその人が関わる町づくり活動さえも、同質の共通性があります。だからこそ私たちは、将来を見据えて精一杯今を生きなければなりませんし、与えられている時間を意義深くしなければなりません。

 今月1日は美郷町満8歳の誕生日です。改めて、目指したい町の姿を明瞭にしながら、費やした時間と現在の姿を確認しましょう。そうすることで、これから歩むべき道がさらにはっきりしてくるように思います。誕生日という節目、人や事柄に関わらず共通する大きな意義は、過去と現在の関連性を整理し、未来に向かう意欲を喚起することだろうと私は思います。

 ユーモアセンスも高い高倉健さん。すべてをひっくるめて「品格」と言うならば、高倉健さんのように「品格ある美郷町」を目指したいものです。

(広報「美郷」平成24年11月号より)

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