コラム「風」平成25年2月

縁と展開

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 「すかーっと満点パパ」。このセリフ、みなさんはご存じでしょうか。「懐かしいなあ」というあなた、きっとあなたもお世話になったのでは。今は亡き「てんぷくトリオ」の三波伸介さんが、随分前に出演していた胃腸薬のCMです。この薬は現在も発売されており、私は自宅に常備しています。幸いこの1月はお世話にならず、妻の小言もありませんでした・・・。

 この胃腸薬、私には二日酔いの特効薬です。飲んでしばらくすると確かに「すかー」っとなります。現在のCMは市川猿之助さんですので、何という薬か知りたい方は調べてみて下さい。なぜこうも効くのか薬剤師でないので分かりませんが、私は「生薬のおかげに違いない」と勝手に思い込んでいます。

 さてその生薬、大半が輸入品と言われています。しかし最近は輸入しづらくなってきたとのこと。つまり国内生産しない限り、いつか生薬配合薬が高騰するか飲めなくなる可能性があるということです。二日酔い程度だったら我慢できますが、これが治療に使う漢方薬となれば大変な話になります。

 そのため、最近は国内で生薬栽培に取り組む事例が出てまいりました。そこで美郷町もこの度、社団法人東京生薬協会という組織と協定を結び、生薬栽培に挑戦する運びになりました。まずは山間部の町有地で試験栽培に取り組みます。栽培見通しを持てたら自己保全管理田などで展開してもらい、農業振興をめざしたい考えです。また、生薬には樹木もありますので、林業振興や水源涵養の観点も踏まえ、秋田杉以外での山林活用を検討してまいります。その第一歩として閉校後の千畑南小学校グランドは公園化し、既存の桜に加え、薬用樹木も植栽した公園兼見本園に整備したいと考えております。

 ちなみに、東京生薬協会会長は株式会社龍角散の社長です。その龍角散、秋田藩の秘薬だった事実をご存じでしょうか。そして創薬者の先祖は、なんと美郷町六郷の出身とのこと。こんな縁、滅多にありませんよ。そこでこの度は、株式会社龍角散とも地域活性化の協定を結ぶことにしました。こうした縁、今後も大切にしながら新たな展開につなげていきたいと思います。

(広報「美郷」平成25年2月号より)

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