コラム「風」平成25年7月
写真の力
秋田県美郷町長 松 田 知 己
例年ですと、降り続く梅雨空を眺めては「あ〜また雨か。青空を拝みたい」と思う季節ですが、今年は逆に「また晴れか、あ〜雲が見たい」と言う日が続いた6月でした。何故こうも雲や雨が少なくなったのか、雨の神様である竜神が存在するのであれば、訳を聞いてみたい気分になりましたが、どうか農作物には少雨の影響が出ないことを願いたいと思います。
実は今年の6月、私は「雲」を待ち望んでいました。いろんな雲の実物を見て勉強したいと思っていたからです。高校で地学を学んでいない私は、雲の知識があまりありません。しかし、JALの機内誌の書評にあった「雲のカタログ」という写真満載の本を購入して、勉強モードのスイッチが入りました。さすがJALです。いい本を紹介してくれます。そしてさすが写真です。勉強しようという気にさせます。改めて「写真の力」を実感です。
私は語れるほどの写真知識も撮影経験もありませんので、話すことに忸怩(じくじ)たる思いがありますが、敢えて申すならば、写真はまず撮影者の思想哲学があり、その上に写真の対象物と構図が選択され、そして撮影者の技量とカメラの描写力が乗っかって作品が仕上がると思っています。なので、一枚の写真を侮(あなど)られませんし、逆に作品から何を受け取るか、見る側のセンスが問われると思っています。従って、私は写真作品を眺める際、できる限り心の雑念を振り払い、写真家の想いを感ずるように努めますし、浮かんでくる感情は大切にしています。これは絵画も同様です。実はこうした過程の中で、私は心がリフレッシュされますし、作品によっては実践に繋(つな)がる何らかのエネルギーを貰(もら)えるように思っています。これが写真の力だと思っています。
町では、今月6日から町在住の写真家泉谷玄作さんの写真展を開催します。泉谷さんは花火で有名な方ですが、今回は火と水をテーマに作品を展示してくれるとのこと。みなさん、期待して学友館に足を運んでもらいたいと思います。きっとみなさんの心がリフレッシュされるとともに、何か動いてみようと思うエネルギー、貰えると思います。ご来館をお待ちしております。
(広報「美郷」平成25年7月号より)