コラム「風」平成25年9月
確認の意義
秋田県美郷町長 松 田 知 己
9月1日が誕生日の私は、生まれながらにして「防災」を考えねばならない宿命です。なぜかと言いますと、その日が関東大震災の日だからです。そのため、9月1日は全国の「防災の日」になっており、夕方には必ず防災関連のニュースが流れます。いきおい私は、誕生日のウキウキ気分とともに、否応なく防災意識や体制について確認せざるを得ないわけです。ちなみに9月1日は地元二ツ柳集落のお地蔵さんのお祭りの日。地域的には本当におめでたい日に生んでもらっているわけですが・・・。
そして今年。やはり防災をさらに意識しなければならない誕生日を迎えました。つい先日、豪雨に伴う大きな災害があったからです。既にご承知のとおり、県内では浸水被害や土砂崩れが多数発生し、そして仙北市においては土石流も発生。甚大な被害を蒙(こうむ)りました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々には心からお見舞いを申し上げます。
一方で、美郷町は被災という観点では本当に恵まれています。最近の自然災害、まるで美郷町を避けてくれているようにも見えます。本当にありがたいことです。しかし、私たちはそんな根拠のない幸運に甘えている訳にはいきません。災害への備えの意識は「常在」が基本。そのため、先般もヤマト運輸株式会社と協定を締結しましたが、今後も充実を期したいと思います。そしてこの度、備えの意識についてみなさんに今一度のお願いがあります。
町では平成21年3月に「災害ハザードマップ」、24年5月に「防災お役立ちガイド」を作成し、全戸配布しました。その中には、浸水想定区域や浸水の深さ想定、土砂災害危険区域や地すべり危険箇所などを記載しています。みなさん、自分が住んでいる地域の危険性、改めて確認してください。また、危険性の有無に関わらず、自分の命は自ら守る観点で、不測の事態にどこにどうやって動くのかも、改めて確認をお願いしたいと思います。
こうした実践の積み重ねが、もし、災害時に明暗を分けるようなことがあるならば、確認という簡単な行為は大きな意味を持つ机上訓練になります。
(広報「美郷」平成25年9月号より)