コラム「風」平成25年11月

安全へのアプローチ

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 稲刈りも終わり、「やれやれ」と思っていたところに台風が来襲。美郷では被害なく過ぎ去ってくれましたが、伊豆大島の惨状には目を覆うばかりです。しかも、砂防施設の整備など想定される施設整備は済んでいたとのこと。改めて豊かな自然が隠している危険な牙、実感するところです。

 そして、美郷も豊かな自然が誇りのところ。先々月の本欄でも触れましたが、自然災害は決して他人事ではありません。美郷は山林を抱え、河川を抱え、そして活断層を抱えております。そのため、これまで安全安心に向けたいろいろな施策の展開や協定の締結など行ってきたところです。

 町にとって一番の脅威はやはり地震です。以前本欄で紹介したとおり、東京大学の先生から見通す範囲で心配ない旨のお話を頂いておりますが、町では備えを重ねています。まずは民家の耐震補強。補助事業を継続中です。ご活用ください。そして避難所の耐震補強。今年、体育館の耐震工事を実施し、これで大きな施設は完了です。現在は小さい施設や国が最近指針を出した吊り天井について調査中です。結果が出れば来年度から対応します。

 次に降雨です。河川水位を監視しながら、土砂災害に最大限の注意が必要です。町内に危険個所があるからです。そのため11月上旬、対象世帯に説明会を開催し、住民と行政が危険回避の共通認識を持つことにしております。

 そして情報伝達。まずは全町一斉に情報伝達する防災行政無線を整備しました。次に学校関係で安全安心メールシステムを整備しました。しかし防災行政無線は屋内でよく聞こえないご指摘もあり、今後、補完の意味も含めて屋内対策も検討していくつもりです。

 このように施設整備は着実に推進していきます。しかし同時に大切なことはみなさんの「意識」です。緊急時の判断や対応は日頃の意識に左右されると思うからです。防災については「これでよし」ということはありません。安全へのアプローチとして、常に防災意識を持ち続けていきたいものです。

(広報「美郷」平成25年11月号より)

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