コラム「風」平成26年8月
変化のセンス
秋田県美郷町長 松 田 知 己
年ですね、以前より目が早く覚めるようになりました。そのお陰で「得したな」と思うこともあるので、「まあいいか」と思っていますが、先日も早朝のテレビ番組で得しました。新聞も読み終わったのでBS番組をスイッチオン。そうしたところ、オルガンの音楽番組が目に飛び込んできました。
その音楽、感動でした。同時に「これは賛否両論あるな」と思いました。ちなみに私は賛成派です。曲は、有名なJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第1番前奏曲。バッハの曲はギター部だった関係から少しは知っておりますので、出だしは「ふんふん」と聞いていました。途中から「んん〜?」となり、最後に「おお!」となって聞き終えました。原曲が途中から編曲された演奏でした。インタビューで「曲の本質を受け止め、愛をもってその価値を人に伝えたい」主旨の発言がありました。だから編曲していると・・・。
本質にある価値や意義を伝えるための適宜変化は、音楽のみならず全てに共通だろうと思います。行政においても施設再編や制度見直しなどは、本質にある意義を環境に合わせて未来に伝えていくための変化です。この度、美郷町は除雪のあり方も見直し作業に入りましたが、変化を見据えたこの作業の核心にある想いは、音楽における編曲作業と一緒のつもりです。
4年連続の豪雪ですので、「除雪はしっかりな!」というみなさんの声は承知しています。他方、除雪は道路拡幅や歩道整備に伴い面積拡大します。降雪量が多ければ当然時間も掛かり増しします。しかも予算は青天井ではありません。その環境の中で通学や出勤に間に合わせなければなりません。それが除雪の本質だからです。とすれば、当然変化していかなければ除雪の本質を守れないという結論に至ります。この度の見直し作業はそのためです。
編曲はセンスが問われます。先のオルガン奏者・編曲者はキャメロン・カーペンターという方ですが、私はすばらしいと思いました。そのセンス、私たちの作業も見習いたいものです。賛否両論はあると思いますが・・・。
(広報「美郷」平成26年8月号より)