コラム「風」平成28年6月
水のチカラ
秋田県美郷町長 松 田 知 己
先月、公民館にて航空自衛隊北部航空音楽隊のコンサートを開催しました。素晴らしい演奏で心洗われるひと時を過ごしましたが、その慰労を兼ねた夕食会でも、これまたいい時間を過ごしました。
若い女性隊員からの話でしたが、面白くない気持ちの時、あるいは不安な気持ちになった時は空を見上げるとのこと。すると、自分の気持ちがとてもちっぽけに見えてきて、すうっと落ち着いてくるとのこと。五十過ぎのおじさん(自分です)と同じセンスに、「この若さで凄いね」と思うと同時に、ふと石川啄木の歌を思い出しました。「不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて 空に吸われし 十五の心」。空はそうした気持ち、吸ってくれるんですね。やはり空はいいです。
一方、美郷が誇る水、果たして空のような効果を持っているかどうか・・・あるんですね、これが。以前、何かの機会に触れておりますが、秋田大学医学部との連携調査によって、湧水の持つ癒し効果が実証されております。「湧水散策は思考力低下や不安な気分を軽減させ、心理的なリラックス効果をもたらすチカラがあると考えられる」と報告をいただき、清水の説明看板にも記載しています。「水の秘めたるチカラ」です。やはり水もいいんです!
こうした水の良さ、普段の生活では目の前の行動などに意識が集中し、なかなか認識を深める時間がないのが実態ではないかと思います。そのため、何かをきっかけにきちんと考えることは、大変に大切なことと思いますが、来月一日、その機会を準備します。公民館において「湧水保全フォーラム全国大会」を開催します。他県及び県内から、湧水保全活動を展開している団体や水に関心を持っている方がいらっしゃいます。意見交換も含めて、みなさんで「水」について深く考えたいと思います。参加人数に限りがありますので、どうか期日までに申し込みくださるよう、お願いいたします。
空を見て癒され、水を見て癒され、さてあとは何を見て癒されますか。おやおや、目の前にお酒があるぞ。今日はこれですね・・・
(広報「美郷」平成28年6月号より)