コラム「風」平成28年8月
思い出と行動
秋田県美郷町長 松 田 知 己
「♪夏が来れば思い出す♪」のフレーズで始まる童謡「夏の思い出」。8月の陽射しを受けると、時折メロディーが頭に浮かんできますが、誰しも夏には夏の思い出があるもの。私の場合、いろいろある夏の思い出の中で、一番思い出すのが小学生の時に子供会で行った海水浴。山育ちには海の印象が深いんですね、きっと。そして、楽しい思い出もぎゅっとたくさん詰まっているからかも知れません。
面白いもので、改めて自分の親としての振る舞いを振り返ってみると、そうした子供時代の楽しい思い出の行動は、自分の子供にも経験させていることが多いように思います。例えば海水浴に連れて行ったこと、動物園に連れて行ったこと、美術館に連れて行ったことなどなど。親としての価値観や行動には、自分の子供時分の経験や思い出が、かなり影響を与えるのではないかと思うところです。
こうして考えてくると、大人にとって大切なことは、やはり「子供の時にいかに多くの経験をし、いかにいい思い出を持つか」ということで、裏返すと「子供は育てられたように育つ」ということではないかと思います。だからこそ、子供達には多様な機会を与えてあげたいと思うわけですが、この多様な機会、家族での機会だけではなく、学校や地域単位の機会、「集団の中での自分」という立場での機会も、かなり必要ではないかと思うところです。
美郷町ではこうした想いを持って、これまで学校単位の経験機会、例えば植樹活動や芸術鑑賞、そして他校との交流などに意識して注力してきたところですが、この夏、その他校との交流で一つの節目を迎えます。歴代PTAと学校関係者ががんばってきた千畑小学校と東京都港区御田小学校の交流です。40年という凄い節目です。改めて歴代PTAと学校関係者に心から敬意を表します。参加した子供達に与えた良き思い出、きっと計り知れません。そしてPTAのご協力、自身の思い出が相まっての行動だろうとも思います。
良き大人(親)づくりにも繋がるこうした取り組み、今後も継続してもらいたいですし、町内全校に広がってもらいたいと心から願っております。
(広報「美郷」平成28年8月号より)