コラム「風」平成30年8月

次の一手

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 まずは7月上旬の豪雨で被害を受けられた西日本の皆様、心からお見舞いを申し上げます。苦難に負けず、がんばっていただきたいと思います。また、この度の災害を通じ、改めて私たちに恩恵をもたらす自然が、一皮むくと太刀打ちできない脅威を抱えている現実も実感いたします。その引き金になる地球温暖化などの気象に影響を及ぼす事柄については、みなさんでさらに意識を高め、その悪化に歯止めをかける各般の実践を心掛けたいものです。

 しかし、最近は本当に異常気象が頻発しております。季節外れの高温や豪雨は、良いことではありませんが通常気象になってきているようにさえ思います。そうすると勢い防災対策は大丈夫かとなりますが、これがまた難しいところです。どこまで対策を講ずれば大丈夫かということが見えないからです。かと言って、手をこまねいている訳にもいきません。やはり何かをきっかけにしながら、次の一手となる対策の充実を期していくことが求められるものと思います。

 美郷町では、これまで折々の状況を踏まえ、十分かどうかは難しいところですが、逐次の充実を図ってきました。具体的には、全町への防災行政無線の整備を皮切りに、屋内対策として今年度が最終年度の緊急告知FMラジオの全戸配布の実施、助け合い体制として自主防災組織の立ち上げなどを推進してきました。また、災害時にお助けをいただく各種協定も折に触れて締結してきております。さらに、災害時に必要な食料や資機材の備蓄を充実させるとともに、どういう災害(土石流や地すべり、浸水など)がどこで発生するか予測した防災マップも全戸配布し、認識喚起に努めてきたところです。

 今回の災害ではご高齢の犠牲者が多いと聞きます。体の自由が充分でない方の避難が問題だったかも知れません。この問題、実は以前より認識されており、美郷町でも既に検討してきております。しかし、残念ながら思うように進んでおりません。地域内における必要なマン・パワーの確保が求められるからです。

 今回の災害を踏まえ、改めて次の一手として力を入れてまいります。各自主防災組織にはどうかご理解ご協力をお願いいたします。


(広報「美郷」平成30年8月号より)

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