コラム「風」平成31年4月

期待の春


秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 

 季節の中で一番好きな季節を問われれば、私は迷わず「春」と答えます。春はいいです、身の回りの「命」が動き出しますので。「さあ、これから」という期待や希望を肌で感じます。そうした期待や希望、私は理屈なしに人を元気にするように思いますが、今月はその期待や希望がどこそこで溢れます。入学式に入社式、人事異動に新年度、それに農作業の始まりエトセトラ。すべては「さあ、これから」です。まさにいま、「期待の春」を迎えております。
 

 そして美郷町にも先月、期待の春を実感させる出来事がありました。1月に包括連携協定を締結したアウトドア総合メーカー()モンベルの直営店の美郷町出店です。先月中旬、正式に道の駅「雁の里せんなん」敷地内に出店することが決定しました。
 

 ()モンベルは国内外に店舗展開している、大変に集客力あるアウトドア総合メーカーです。県内に直営店はありませんので美郷町出店が県内初となります。結果、美郷町への人の流れは、確実に増加します。町ではその人の流れを、「まちなか」や山岳などの自然資源に誘導し、新たな経済効果と施策効果を生み出したい考えです。
 

 モンベルでは、出店に2億円以上の投資を行う予定とのことで、町では補助率1/2で上限1億円の補助を準備いたします。「多額だなあ」と思われるかも知れませんが、財源は有利な国の制度を活用し、実質的町負担額はその3割です。モンベルから固定資産税や法人町民税を毎年いただきますので、町負担額は一定年数で戻ってきます。人の流れの増加とともに、財政的にもメリットがある訳です。加えて店舗名に「美郷」が入り、全国発信されるメリットもあります。
 

 改めて申しますと、今回の出店誘致はひとつの企業誘致です。雇用を生む形の企業誘致もあれば、新たな人の流れで活気を生む形の企業誘致も、「人口減少地にはあり」と私は思います。各種の集客イベントが何を目的に毎年開催されているのかを考えれば、この度の企業誘致の意義も理解していただけるものと思います。
 

 その観点で「期待の春」です。「さあ、これから」です。
 

(広報美郷平成314月号より)

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