コラム「風」令和元年6月
点から線に
秋田県美郷町 松 田 知 己
決裁書類がすべて「令和」になっているため、すでに「令和」が当たり前になっている自分からすると、「平成」の事柄を語ることが何となく昔のように感じる部分がありますが、みなさんはいかがでしょうか。人の感覚というものは実に面白いものです。
さてその平成の話、と言っても昨年ですが、平成30年9月下旬より秋田県立美術館と秋田市立千秋美術館合同で、「千住博展」が開催されました。ご覧になった方も多いと思います。両館それぞれに千住作品を展示し、渡り歩かせて鑑賞させるというもので、私にはとても新鮮でした。両館の違いを再認識するとともに、移動の中でまだ見ぬ展示に期待を高め、併せてその間の商店街に立ち寄り効果も生むという、まさに一石何鳥かの企画です。改めて「点と点を結んで線にする」ことの意義を考えさせる企画でした。
こうした点と点を結んで線にすることの必要性は、広く数多の分野で求められております。身近で理解しやすいのが観光分野ですが、例えば県内の観光地を結んで線にし、その結果として県内に宿泊してもらい、経済効果をさらに上げようとする取り組みは、かねてより求められております。また、その範囲を小さくして見てみても同様で、美郷町においても視点を一点から多点に広げ、結んで線とすることで、経済効果を上げていくことが求められております。
この度、そうした観点も飲み込んでの施設整備が一つ終わりました。坂本東嶽邸の蔵の改修です。当初、耐震性に不安のある蔵をどうするか悩んだ時期もありましたが、点を作り、結んで線にすることを意識して改修の決断をしました。結果、今後は六郷地区の「國之譽ホール」、千畑地区の「東嶽邸蔵」、そして9月供用予定の仙南地区の「佐藤家蔵」を結んだ蔵めぐりの線ができあがります。完全な線は9月まで待たないといけませんが、まずは國之譽ホールと東嶽邸蔵を結び、その移動の途中に歴史民俗資料館を挟め、さらに清水散策や商店街散策ももちろん絡め、「くらくら」するような魅力的な線になるように工夫を重ねてまいりたいと思います。
(広報美郷 令和元年6月号より)