合併15周年を迎えて～さらなる成長に向けて～

秋田県美郷町　松　田　知　己　

　元号が平成から令和に変わった本年、美郷町は誕生から15年の節目を迎えました。町の節目が国の大きな節目と一緒になったことは偶然であるわけですが、そこに何らかの必然を見出すことで、この度の節目の意義がより深まるものと思います。偶然に隠れた必然の一端を、みなさんで探していきたいものです。

　さて、何かが成長していくためには、すべてについて一定の条件があります。例えば、望ましい植物の生長には、内的には窒素、リン酸、カリウムの三栄養素が必要条件ですし、外的には温度、空気、水分の三要素が必要です。また、人間の成長ではどうかと言えば、物理的成長には炭水化物、タンパク質、脂質の三つの栄養素が必要ですし、心理的成長には経験、知識、思慮の三つの要素が必要不可欠ではないかと思います。

　では、自治体が成長する条件は何か、改めて考えてみます。物理的には社会資本、各種制度、財源の三要素がバランスよく存在することが必要だろうと思います。また、心理的には自治体への関心、地域づくりへの参加意志、郷土への誇りと愛着が必要ではないかと思うところです。そして、これら要素がバランス良く充実することが、自治体としての成長に繋がっていくように私は思っています。

　美郷町は誕生以来15年間、めざす町の姿を俯瞰しながら、本号に記載のような各般の取り組みを重ねてまいりました。その結果、合併町として、一定の成長は遂げているものと私は認識しております。しかし、社会構造の変化などを受け止めますと充分とは言えず、まだまだ、その可能性と必要性は求められているように思います。

　そのため、その方向をこの度の機会に見通す意味で、改めて美郷町の成長度合いをそれぞれ総括していただくとともに、今後の取り組みが必要な部分、要素について考えていただきたいと思います。私はその最大公約数的な部分が、今後の町づくりの指針になっていくように思っています。また、そうした姿勢での実践の積み重ねが、今後の美郷町にさらなる成長をもたらすと信じております。

　世の中には三要素で整理されることが実に多くあります。美郷町も千畑、六郷、仙南の三つの地域です。今後も三つの地域が協調し合いながら、三要素を意識した美郷町らしい「心一つ」の歩みをめざしたいと思います。この度の節目では、こうした認識もみなさんで確認し合い、全体として意義深い機会にしていきたいものです。

（広報美郷 合併15周年記念号より）