コラム「風」令和2年6月

風が吹けば・・・

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除されたものの、引き続き警戒が必要な生活が続いています。時々気分転換を図りながら、今後も気を抜かずに密閉、密集、密接の3密回避、手指消毒の徹底、マスク着用などに努めていただくようお願いいたします。

 さて、「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉、ご存知と思います。辞書によると「何か事が起きると、めぐりめぐって意外なところに影響が及ぶこと」とのこと。風で砂ぼこりが立つと砂が目に入り視力を失う人が増え、視力を失った人が増えると三味線を買う人が増えて三味線材料として猫が減り、猫が減るとネズミが増えて桶が齧(かじ)られ、齧られた桶の修繕等で桶屋が儲かるという因果です。

 美郷町は先月、国の緊急経済対策である特別定額給付金10万円の給付作業を急ぎました。生活困窮の方に早く対処するとともに、風が吹けば桶屋が儲かる的に総額約19億円という「大きな風」で、早く町内経済の回復を図りたいためです。例えば、給付金で飲食店に行けば飲食店が儲かり、飲食店が儲かれば食材生産者等も儲かり、食材生産者が儲かれば農機具業者等も儲かり、農機具業者が儲かれば部品製造業者等も儲かるというあんばいです。まさに、産業連関的な多くの因果で大きな経済効果が生まれます。なお、町独自の商品券・食事券の全町民への給付も、それを後押しする「風」です。6月上旬からお届けする予定で作業を進めております。

 一方、民間会社の調査では約37%の方が給付金を貯蓄に回す意向とのこと。悪いとは言えませんが、国が意図した緊急経済対策にはなりません。貯蓄を含めてまだ手元に給付金が残っている方には、どうか町内で使ってもらい、町内経済の回復にご協力をお願いいたします。また、余裕のあるご親戚等が町外にいらっしゃるようでしたら、「美郷町宣伝大使」に就任した気持ちになって、美郷町の特産品をご購入いただくよう、お勧め願いたいと思います。

 今、社会に必要な風は、新型コロナウイルスを避けながら縮小した経済活動を正常化させる風です。そのために出来ることをそれぞれが判断し、みなさんで風を吹かせましょう。本欄の「風」もがんばります。

(広報美郷 令和2年6月号より)

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