コラム「風」令和3年2月

闘い

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 年末に1回、年始に(と言っても松の内過ぎてからですが)1回、こんな短期間に雪下ろしを続けてお願いした記憶は、私にはありません。天を仰ぎながら「これからどうなるんだ」と、真剣に不安になりましたが、きっと私だけではなかったものと思います。

 不安が掻き立てられたのは、自分の努力では何ともならない相手、お天気だったからです。努力で何か対策を講ずることができる相手だったら、形が違う不安だったのではないかと思います。そこでふと思い出したのが、作家の芥川龍之介。「将来に対する唯(ただ)ぼんやりとした不安」という言葉を残して彼岸に渡りましたが、やはり捉えどころのない、言い換えると自分の努力の仕方が見えない不安というものは、きっと大変に厄介なものなのだろうと思います。

 さて、現在の私たちの共通不安は、間違いなく新型コロナウイルス感染症です。ただし、この不安は努力の仕方が見える、ぼんやりとしていない明確な不安です。つまり私たちが「闘える不安」ということです。お天気とは違って、尽くす手があります。

 そのため、私たちはこれまでマスク着用や手指消毒の徹底、三密回避などの努力で闘ってきました。また、製薬関係者は英知を集めてワクチン開発や治療薬開発という努力で闘い、医療関係者は献身的な治療という努力で憎きウイルスと闘っています。

 しかし、悔しいことにウイルスはその努力を乗り越え、感染拡大しています。これまでの努力を無にしないためにも、ここでウイルスに負けるわけにはいきません。国や県が発する情報をきちんと受け止め、これまで以上に細心の注意を払い、「感染しない」という強い意志と努力を武器に、みなさんで闘っていきましょう。

 それでも感染した場合は致し方ありません。次なる闘いは「感染させない」意志と努力です。迅速に治療に専念しましょう。(意図せず感染した方への誹謗中傷は御法度です。温かく見守りましょう)

 もちろん役場も闘っています。庁内に新型コロナウイルス感染症対策推進室を設置するとともに、国の方針に基づく町民へのワクチン接種について円滑かつ適切に対応できるよう、現在、準備作業を進めています。この一連の作業もウイルスに対する我々の闘いです。

 「努力は裏切らない」、「継続は力なり」という言葉を信じ、努力の継続がもたらす結果を信じて、みなさんでがんばりましょう!

(広報美郷 令和3年2月号より)

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