コラム「風」令和3年3月

変化のきっかけ

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 新型コロナの感染拡大に豪雪も加わり、何となく心が重かった冬から、心軽くなる春の兆しが見えてきました。一方、重さの一番原因の新型コロナは、いまだコントロールできる状況には至っておらず、心底ウキウキできないところが残念なところです。

 さらに町においては、温泉ファンをがっかりさせており、申し訳なさも加わっているところです。六郷温泉あったか山の休業です。

 原因は源泉の水中ポンプの不具合で、その状況はポンプを引き上げてみないと分からないとのこと。「では、すぐに引き上げれば良いではないか」となりますが、それができないのです。源泉が山奥で、現在の積雪深では引き上げに必要な重機を持っていけないからです。一定の雪解けを待たなければ復旧作業に入れず、つまりはもう少し休業せざるを得ない状況です。どうかご理解とご寛容をお願いいたします。そしてあったか山ファンの皆さんには、町内のほかの温泉施設で、違う趣の温泉をお楽しみいただきたいと思います。

 その温泉施設、町民の健康増進を図る目的で平成5年前後に整備されました。一定年数が経過しているためか最近は3温泉とも故障が続き、あったか山以外では、湯とぴあが落雷に伴う故障で昨年秋に長期間休業するとともに、サン・アールでは漏水が見つかり、修繕のためこの3月上旬に短期間休業することとなっております。

 健康増進の公共施設ですので、できる限り低料金でご利用いただくとともに、修繕を重ねサービス提供してきておりますが、今後も故障等が続くようであれば町の予算投入額は (かさ) み、利用料金の見直しや施設統廃合の検討を避けては通られなくなるものと思います。なお、人口減少等を踏まえて公共施設等を管理する「美郷町公共施設等最適化実施計画」では、温泉施設の根幹に係る改修が必要になった場合は機能を廃止する旨、定めているところです。

 新型コロナの変異も含めて、世は諸行無常。そして、その変化には必ずきっかけがあります。温泉施設もいつか変化せざるを得ない時が来ますが、そのきっかけが近くないことを願っております。 

(広報美郷 令和3年3月号より)

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