コラム「風」令和3年4月

乗り越える

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 桜花爛漫を迎える4月に入ります。その風景を想像するだけで心穏やかになりますが、みなさんはいかがでしょうか。一方、入学や入社などで、慌ただしさをお迎えの方も多いと思います。ある意味、今しか味わえない慌ただしさですので、しっかりと記憶に刻みながら、大いに慌ただしくお過ごしいただきたいと思います。

 しかしながら、その慌ただしさ、4月に限ったものではありません。質を違えながら、寄せては返す波のように発生しては消え、また発生するのが普通です。先輩ぶった話をすると、それに対処してこそ、人生を振り返った際「語りたい記憶」として残るように思います。逃げずに正面で受け止める態勢で、がんばってもらいたいと思います。また、そうした気持ちで臨むことが、さまざまな環境に対するいわば免疫をつくることとなり、嬉しいことも嫌なこともある人生の中で、へこたれない生き方に繋がるようにも思います。新社会人のみなさんには、特にそうした認識で押し寄せる仕事に対処し、大変さを乗り越えていっていただきたいと思います。

 さて、今春はそうした個人の社会的な免疫に加え、本当の免疫、生理学的な免疫確保が重要なテーマになっております。新型コロナウイルスです。ご承知のとおりワクチン接種は、病原体に対する抵抗力、つまりは免疫確保を目的に実施されており、毎年のインフルエンザワクチン接種はその一例です。現在のところ、新型コロナウイルスはインフルエンザと同様、ワクチン接種が毎年必要な可能性があるとの報道もあり、加えて感染流行抑止のため集団免疫を得ることが大切ともいわれております。こうしたことを踏まえますと、みなさんには新型コロナウイルスとは長い付き合いになる覚悟のもと、ワクチン接種を正面で受け止め、抗体という武器をみなさんで持つ意味合いを深く考えて、接種の可否をご判断いただきたいと思います。

 毎年巡って来る春ですが、この春も昨年同様、特別な春になってしまいました。桜花は静かに楽しみ、目の前にある不安には冷静に対処し、みなさんで落ち着いて乗り越えていきたいものです。

(広報美郷 令和3年4月号より)

このページに関する情報