コラム「風」令和3年8月

連携の目的

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 「じしんは無いよりもあった方が良い」、というとギョッとするかもしれませんが、漢字表記をすれば納得。「地震」ではなく「自信」です。すべての事柄に自信を持って臨んだ方がいいことは、言うまでもありません。結果に違いが生ずる可能性が高いからです。

 だからこそ、受験や試合に臨む際、大体の人は「自信を持ってがんばってこい!」と励まします。その核心には、実力を余すことなく発揮するには心に余裕が必要で、それは「自信」を持つことから生まれる、という経験則があります。もっとも、「あり過ぎ」には注意が必要です。実力を損ねる「油断」が生まれますので。(笑)

 さて、美郷町はこれまで、大手企業との連携活動を推進してきました。㈱龍角散様を皮切りに、日本航空㈱様、ヨネックス㈱様、㈱モンベル様とそれぞれの目的で連携協定を結ぶとともに、具体の連携活動を積み重ね、 、今日 (こんにち) まで一定の成果を生んできているところです。そして今年6月、大手香料メーカーの小川香料㈱様と連携協定を締結しました。町民の共有財産である美郷雪華を香料原料として活用し、産業振興に繋げるとともに、美郷町の存在感の向上をめざしたいからです。企業直営の栽培ほ場も、町ラベンダー園の近接地に設置される予定となっており、これまでの企業連携と同様、具体の活動を展開し、今後、成果をあげてまいりたいと思います。

 そしてもう一つ、実は大手企業との連携には違う目的もあります。町民の美郷町に対する自信づくりです。美郷町は人口が少ない小規模の自治体です。それでも大手企業と対等に付き合い、活動を重ねております。これは他自治体にはない美郷町の特色です。町外の方から「美郷町はどういう町か」と問われた時、語る言葉には実際の特色とともに、内包された自信が必要ですが、その一つにしたいという想いと願いです。さらにこうした自信は、町民の町づくりへの関心や参加にもプラスの影響を及ぼすと、私は信じております。

 私の世代で「一粒で二度美味しい」と言えば某メーカーのキャラメルですが、現在の美郷町の企業連携も、狙いはそれです。

(広報美郷 令和3年8月号より)

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