コラム「風」令和3年12月

戦略

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 先月上旬、ある植物の生き残り戦略に感動しました。というか困りました。アメリカセンダングサ(たぶん)、通称「のさばりこ」の戦略です。冬囲いが終了した自宅庭を散策したところ、ズボンや上着の腕に「ここまでくっつくか」というほど「のさばりこ」がびっしり。取り去るのが大変でしたが、ほんの少しの接触で種を引っ掛けて、運ばせることで自生域を広げる生き残り戦略に脱帽です。

 そういえば10月中旬には、庭の糸杉に野葡萄が絡んでいるのを見つけました。はじめは実の色彩の美しさに見惚れていましたが、次に「なんでここに野葡萄が?」という疑問。考えれば答えは一つで、鳥が種を運んできたに違いないわけですが、食べさせて運ばせる戦略。植物の生き残り戦略もいろいろです。こうした植物の戦略は、いわば攻めの生き残り策だろうと思いますが、現在の私たちの生活環境を重ねてみると、何か考えさせられるところです。

 さて、新型コロナウイルスは10月に入り感染拡大が徐々に収束し、11月は低い水準で推移しているところです。その理由はいろいろ論じられておりますが、とにかくこのまま抑え込み状況が継続されることを祈るところです。そのためにも、緩まず細心の注意を継続することが基本中の基本になります。みなさんには怠りなく対応をお願いいたします。また、町としては感染抑止に向けた最大の「攻めの戦略」であるワクチン接種について、国の方針「2回目から原則8カ月以上の間隔」に基づき3回目接種の準備を進めています。

 既に医師会とも意見交換して会場および日程を調整しており、町では1月下旬に医療従事者向けの集団接種を行う予定です。そして2月下旬には2回目接種の終了順に町民向けの集団接種を行います。前回は電話予約で混乱が生じましたので、今回はその経験を踏まえ、接種日をあらかじめ指定させていただきます。そしてどうしても都合が悪い場合、接種日を変更できる仕組みとする予定で、できる限りスムーズに3回目接種が進むよう、その戦略を練っているところです。

 今年もひと月。来年に繋がる戦略はいまが考えどころです。

(広報美郷 令和3年12月号より)

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