コラム「風」令和4年4月

前に進む

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 進学や入社など生活に変化がある方には大きな期待感が生まれ、そうでない方にもふわっとした期待感が生まれる4月を迎えました。その核心は、希望に近づけるかも知れない「可能性」だと思いますが、確実にそれを大きくする月になることを願いたいと思います。

 ただし、願うだけでは期待感はいつか (しぼ) んでしまいます。可能性を育てる「変化」が生まれないからです。やはり行動が求められます。しかし、今は新型コロナウイルスのせいで、疾病と経済が絡んだ大きな社会課題に包まれ、それを発揮しづらい環境です。その打破に向けた武器はワクチンと治療薬の2つですが、町ではその1つ、ワクチン接種3回目を現在、急ぎ進めています。まだ3回目接種を受けていない方は、5月に予定する追加の接種機会に前向きな対応をご検討ください。また、努力義務のない小児接種(5歳から11歳)では、接種券未送付の7歳以下の接種を5月に予定しています。効果と副反応を考慮し、対応を決めていただきたいと思います。

 こうした目の前にある社会課題のほか、先月からはロシアのウクライナ侵攻に伴う影響も課題に加わってきました。原油価格変動や農産物等の流通不透明さに伴う影響など、今後、経済と日常生活にどのような影響が生じてくるか怖いところです。この状況を踏まえつつですが、侵攻を受けたウクライナには表現し難い痛ましさを感じます。同時に、非人道的な武力行使と見え透いた情報操作で自己正当化を図るロシアの侵攻関係者には、怒りしか湧いてきません。日本を含む数多 (あまた) の国がかつて歩いた誤った道と同質ですが、今の時代にあってもなお存在するこうした判断と行動に、剣とペンの力関係、そして我欲について深く考えさせられる春です。ジョンレノンの曲「イマジン」や「平和を我らに」が心の中に流れます。

 前に進むことを国際暴力等で拒まれない、今の日本の平和に感謝しつつ、だからこそ、新型コロナウイルスへの対応も含めて、望む自分の姿や社会の姿に近づいていく判断と行動で、自分らしい意志を持って前に進む「令和4年4月」にしていきたいものです。

(広報美郷 令和4年4月号より)

このページに関する情報