コラム「風」令和4年7月
啓発の機会
秋田県美郷町長 松 田 知 己
トイレとカレンダーの相性は分かりませんが、我が家では毎年トイレにお気に入りカレンダーを掛けます。今年は、集落の新春恒例の催しで当たった、週めくりカレンダーも加わりました。週ごとに偉人の名言が書かれていて、なかなか良いものです。例えば自動車を工業生産化したヘンリー・フォードの言葉。「未来を考えない者に未来はない」。平易な言葉で核心を突いています。さすがです。
こうした啓発を受ける言葉はどこそこにある訳ですが、先日は某局の連続テレビ小説で出会いました。出演俳優の鶴太郎さんが話された言葉。「迷ったら入口に戻ればいい」。んん~、深い言葉です。ずっと心に残っています。このドラマ、もともとストーリーが面白く毎日見ていますが、それ以降は役者さんの台詞にも意識を払って見ています。脚本家のメッセージ力、素晴らしいです。
やはり日常生活の中には、大きい小さいは別にして、「啓発を受ける」機会、そして何かを感じる意識、大切ではないかと思います。生活にある種の張りを与えるとともに、平坦に流れがちな日常に刺激を与え、結果、日々に変化を生む可能性に繋がると思うからです。また、そうした日々の変化は生活の面白さでもありますので、より良く生きることにも繋がるように思うところです。
町ではこれまで、学友館特別展を毎年開催してきておりますが、取り組みの核心は、そこにあります。町内での日常生活において何か啓発を受ける機会があること、何か意識を磨く場があること、地味に見えますがとても大切なことではないかと私は思います。その観点で、私は今後も学友館特別展の取り組み、大切にしていきたいと考えております。ということで、今年度の第一弾「大川清一 北東北 山々の輝き」展、秋田魁新報社様の特別協賛を得て、今月末から開催します。多くの方々にご覧いただきたいと思います。
写真家がカメラを通じて捉えたもの、時に感動、時に畏敬、時に祈りなどを意識しつつ、作品が放つあらゆる矢を受け止めていただき、何らかの啓発の機会になることを心より期待しております。
(広報美郷 令和4年7月号より)