コラム「風」令和4年9月

対応の変化

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 遡ること四十数年前。高校生だった私がそれを目にした際、クスっと笑ったことを記憶しています。家が酒類小売店でよく飲料メーカーの機関誌が届いていましたが、その中にあったキャッチコピーです。「破れた恋と空き缶はくず籠へ」。ポイ捨て禁止の主旨ですが、いいコピーだと思いませんか?誤解を招かないために申し添えれば、当時私がそうした状況にあった・・わけではありません。

 この作品、改めて見直してみると、環境への時代認識も見えてきます。昭和五十年代はごみの分別が充分でなく、それがこの作品に反映されているように思います。例えば今風に作り変えてみると、「破れた恋と空き缶はそれぞれのごみ箱へ」となるのではないでしょうか。現在は環境負荷軽減のため、ごみ分別が当たり前です。やはり「対応は時代に沿って変化するものだ」と思うところです。

 さて、今月19日は「敬老の日」です。これまでご苦労を重ね、今日 (こんにち) の地域社会を築いてこられた方々に敬意を表す日です。本来、年齢を区切らず高齢者を敬うべきですが、社会活動への参加状況や対象者数などを踏まえ、町では基準日において満75歳以上の方を敬老対象者としてきております。ここ2年間を除き、例年は対象者にご案内を差し上げ、各地区で式典を行ってきておりますが、最近は敬老記念品を受け取りに来られても、式典には参加しない方が多い傾向にありました。これも時代の流れかなと思うところです。

 そこで町では、今後の敬老会のあり方をどうすれば良いか検討してきましたが、今回から開催スタイルを変えることにしました。ささやかですが、敬老記念品はここ2年間と同様、対象者全員に宅配便でお届けします。そして、式典は行わず、代わりに楽しめる機会として、希望者の参加申し込みによる敬老記念行事を開催することにしました。これまでの状況を踏まえた対応の変化について、どうか関係みなさまのご理解をお願いいたします。

 私は今月1日で満59歳。年齢に合わせて私も変化中です。差し当たり早寝早起きへの移行ですが、実のところ必然的にこうなりました。意図した変化でないところが実は悔しいところです。

(広報美郷 令和4年9月号より)

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