コラム「風」令和5年2月

先を読む

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 原稿を書いている現在、昨年よりも難儀が少ない冬となっています。言霊 (ことだま) を信じて、「今年は雪下ろしが無いように」と何回も唱えた結果かも知れません(笑)。一方、その作業の受託を見込んでいた方々には肩透かしで、その意味では悲喜交々 (ひきこもごも) です。ただ、先が分からぬ分野ですので、この広報がみなさんに届く頃には、「なんだよ~、昨年同様の大雪じゃないか」となっているかも知れませんが・・・

 こうした先の読めない事柄は、見込みを立てた後は状況を踏まえた臨機応変しかありません。一方、先の読める事柄については、適切な時期の対応が求められることは申すまでもありません。例えば美郷町の学校再編。秋田県の人口動態を踏まえつつ、美郷町の出生者数と児童生徒数の過年度推移を見れば、将来の児童生徒数の減少は避けられない見込みでした。子どもたちの望ましい成長過程を俯瞰し、一番大切な期間に多くの友人関係を持つ意義を踏まえると、「遅かれ早かれ」であるならば早い方がいいという判断で、あの時期に対応しました。努力しても残念ながら先の読める分野でした。

 そうした先の読める事柄では、現在のところ、目の前にあるのがマイナンバーカードです。国はカード取得を任意としながらも、健康保険証にも転用していく旨を担当大臣が表明しました。実質的な義務化に近い形です。とすれば、この先がどうなっていくのか読める事柄となります。「遅かれ早かれ」の状況になったとすれば、どう対応していくことが望ましいのかは申すまでもありません。

 カードの利用方途は徐々に拡大し、持つことで得られる利便性は高まってきています。町でも、カードがあれば3月からコンビニで住民票などが取得できるようになります。未申請の方々にはこうした状況にご理解いただき、早期対応をお願いいたします。なお国のポイント付与は、カード作成申請が2月末分までとされています。

 たまに顔を覗かせる冬の青空。浮かぶ雲は常に風に流され、変化します。「あ~、世の中と同じだ」としみじみ眺める私でした。

(広報美郷 令和5年2月号より)

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