コラム「風」令和5年7月

油断大敵

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 誰しも、経験して初めてその重さを実感する言葉があります。自分にとっては「油断大敵」が (まさ) にその一つ。立場上、選挙を思い浮かべそうな感じですが、起点は別にあります。 (さかのぼ) ること14年前のこの時期、 (はか) らずも私は近くの総合病院に入院していました。脚立から落ちて骨折したからです。理由は明快。油断です。

 その当時まだ若かった私は、身のこなしに多少の自信がありました。脚立に登ってのひと仕事のあと、私は脚立に (つか) まらず、両手に物を持った状態で後ろ向きに脚立を降り始めました。一段ずつ降りて行った途中、感覚的には有るはずのステップが無い。あっと言う間に背中から落下。即入院です。脚立を踏み外すかも、という意識が希薄だったためで、油断以外の何ものでもありません。入院中は反省を超えた猛省でしたが、「後悔先に立たず」です。

 「油断大敵」という言葉、あらゆる場面で使われています。そのためか、やや鈍感になっている向きもあります。しかし、真剣に大切な言葉です。その大切な言葉、今月から数か月はみなさんで意識することが求められます。「熱中症」についてです。ニュースや新聞でよく耳にし、目にしますので、慣れっこになっていないでしょうか。他人事と思っていないでしょうか。そして、自分は大丈夫という根拠の無い自信を持っていないでしょうか。その認識、危険です。以前と違い、猛暑日が平然と何日も続く近年、自分事として油断なく予防策に向き合うことが必要です。では何に注意して、どう対応すれば良いのかとなりますが、そのポイントを今月号の町広報で特集を組みました。是非ご覧いただくとともに、そのページを町広報から抜き取り、どこか目に付くところにぶら下げてもらいたいと思います。常に注意を払う意識で、「油断大敵」を忘れない状況を作っていただきたいものです。

 予防の基本はこまめな水分補給とのこと。じゃあ、こまめに泡の出る飲料はどうだ・・・となるところですが、 (のん) べえさん、ごめんなさい。ダメです。

(広報美郷 令和5年7月号より)

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