コラム「風」令和5年8月

推し活

秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 「何かを得れば何かを失う」のが世の常ですが、「何かを経験すれば何かを得る」のも世の常でしょうか。先月初め、私は還暦同期会に出席しました。そうしたところ、満60歳にはまだひと月あるものの、気分はもう満60歳。気分的に一つ、歳を得ました(笑)。

 その先月、町では4年ぶりに従前とほぼ同じ内容でラベンダーまつりを開催し、無事に終えることができました。おかげ様で期間中は多くの方々からご来園いただくとともに、新たな取り組みとしてJR大曲駅からの乗合タクシーを試験運行することもできました。足を運びやすい仕組み構築がテーマで、コロナをきっかけにスタートしている補助制度ですので、経験したからこそ得た取り組みということになるのかもしれません。関係各位にお礼を申し上げます。

 さて、お祭り終了後のラベンダーですが、例年、然るべき時期に刈り取りを行います。刈り取った物のうち、利活用したい一部は精油と水分に分離抽出し、残りは欲しい方に売却しております。町オリジナル品種の美郷雪華については、町の連携企業を中心に売却しているところですが、その美郷雪華、化粧品OEMメーカーの研究で、抗酸化活性のある成分が含まれていて、シミとシワの抑制効果を期待できることが判明しました。美郷雪華は以前の分析で、リラックス効果のほか集中力を高める成分も含有されていることが分かっておりますので、ますます面白い品種になってきました。

 そしてその利活用ですが、抽出した水分は「ルームフレグランス」として商品化されている一方、抽出量の少ない精油は実はそのまま冷蔵保管してきております。この度、ますます面白い品種であることが分かりましたので、美郷町のPRのため、今後は精油も利活用を検討していこうと思います。その意味で、美郷雪華は「研究」という経験で「価値の向上」を得たことになります。なお、精油は本当に少量ですので、どういう形で販売できるか、鋭意検討中です。 

 「推し活」。最近のはやり言葉です。存在価値が向上した美郷雪華、アロマや美容分野の推し活対象になることを願いたい私です。

(広報美郷 令和5年8月号より)

このページに関する情報