コラム「風」令和5年9月
選択
秋田県美郷町長 松 田 知 己
今月1日を以って満60歳。つまり還暦です。ひと山超えた感がありますが、諸々の状況に大きな変化はなく、何となく、節目らしい変化を求めたい気分もあります。そこで、今月号の本欄「風」は、普段とは違う「である」調の常体の文章に変えてみます。
私は昔から「牛丼」が好きで、たまに出張に行った際の昼食にも牛丼を選択することが多い。食事提供が速いからではなく、うまいから選択しているのだが、大体は同じ大手チェーン店に足を運ぶ。3大大手を食べ比べしたところ、そこが一番うまいと思ったからだが、まずは牛丼の味付けが良い。そして紅生姜もうまい。これが店の選択理由である。きっと世の中のすべては一緒で、選択にはそれなりに理由がある。牛丼屋をどこにするかの話だけではない。
さて、美郷町は6月末時点で人口1万8千人を下回った。確実に減少が進んでいる。人口減少に歯止めを掛ける策として、これまでも生み育てやすい環境づくりや移住・定住の促進に努めてきたが、さらに歯止め策の強化が必要との判断に立ち、現在、2つのプロジェクトを進めている。ひとつが、周辺公共施設と連携効果を生みやすい旧六郷公民館跡地に整備したい子育て支援拠点施設。もうひとつが、現在の認定こども園、小・中学校にも遠からず、生活利便性の高い旧六郷幼稚園・保育園跡地に整備したい住宅用地。ともに美郷町第3次総合計画に基づくプロジェクトである。
こういう展開で町は、子育て奮闘中の方をさらに支援していきたい。また、ご夫婦の「子供を授かりたい」という前向きな気持ちに繋げていきたい。そして、利便性の高い場所に居を構えやすくすることで、定住の促進に繋げていきたいと考えている。事業完了までは多少の時間が必要だが、こうした町の取り組みと姿勢を特に若い世代には受け止めてもらい、美郷町が住むために「選択される町」となるよう、心の底から期待している。
常体の文章、いかがだったでしょうか。読みづらいとすれば、来月はまた敬体の文章に戻します。60は耳順う歳ですので。(笑)
(広報美郷 令和5年9月号より)