コラム「風」令和5年10月
使い切る
秋田県美郷町長 松 田 知 己
例年より暑さが継続した9月、隣接市で県総合防災訓練がありました。いろいろな想定での訓練でしたが、「おっ」と思ったのが、被災車から人を救助する訓練。なんとその訓練用被災車が、わが愛車と同じ車種、同じ型式ではないですか。
こうした訓練では廃車が利用されますが、わが愛車も「その古さにあるよ」と突き付けられ、ショックでした。と同時に、「わが愛車は良くがんばっているよ」と、愛車を誇らしくも思いました。言う間でもなく、経済を回す視点では一定頻度でモノを取り換えていくことは大切です。他方、製作への敬意や資源活用の視点では、「使えるものは使い切る」ことも大切。両方を思った瞬間でもありました。
さて、こうした表裏の価値観は、車のみならず全てに共通です。どちらの考えに立つのかは、対象物の種別によって左右されるわけですが、公共施設に対する町の考え方は、基本、使えるものは使い切る価値観です。多額の税金を投入しているからです。そのため、かつての町スポーツ振興事業団のトレーニングセンターは、その後、美郷中学校附属のセミナーハウスにし、その役割を終えた現在、内部改修工事を経て、今月からは文化財等の保管庫になります。美郷町の歩いた時間に比例し、文化財など町所有物が徐々に増え、これまでの収蔵スペースでは一杯いっぱいになってきたからです。
それに伴い、これまで収蔵施設だった旧中央公園プール管理棟は役目を終え、解体します。使い道が難しく、老朽化も進んでいるためです。ただ、解体後の更地は次の利用に向かいますので、土地は使い切っていく方向になります。なお、こうした施設の活用変化は、今後も生じてまいります。その際には、利用環境を踏まえつつ、説明に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
実はわが愛車、カーナビ関係で2回ほど手術を行っております。やはり、どこかが具合悪くなってきます。使い切るということは、手を掛けるということなんですよね。自分の体と一緒で(笑)。
(先月の文体は・・・・・ということで、従前の文体に戻しました)
(広報美郷 令和5年10月号より)