コラム「風」令和6年2月
困難と工夫と節約と
秋田県美郷町長 松 田 知 己
新年初日に石川県で大地震が発生、そして翌日には旅客機と輸送機の衝突事故。安寧を願った令和6年でしたが、表現の難しい重さを背負って年が始まりました。お亡くなりになった方々のご冥福を心からお祈りするとともに、今なお不自由な生活を重ねている被災者のみなさまに心からお見舞いを申し上げます。
また、被災地の自治体においては被災者支援並びに行政サービスの復旧のために、想像を超える対応と努力をしているものと思います。その対応にはもちろん予算が必要で、状況によっては議会を開かず予算確保する専決処分を行い、最大限工夫して迅速に対応しているものと思います。心から敬意を表します。
そんな中、美郷町はどうかと言いますと、幸いにも大きな災害や事故はなく、今までのところ穏やかに経過しております。ありがたいことだと心から思います。ただし2点の「困難」を除いてです。その一つが通常はあり得ない冬期の熊出没(子熊でしたが)。普通は冬眠するでしょうに。熊さん、もう出ないでください。そしてもう一つが来年度の予算編成作業。記憶の中では、過去2番目の困難さです。収入と支出の帳尻合わせに大汗です。原因はいくつかあり、今回だけの困難さと言えないところが厄介なところです。
一つ目は「意識して注意する」しかありませんが、二つ目は先々を見据えて財政健全化、というより財政悪化防止に向けた工夫と努力が必要です。予算には光熱水費や人件費などの経常的経費と、各種施策を展開するための政策的経費がありますが、まずは経常的経費の見直しについて改めて検討に着手します。さまざまな事情がありますので、それを受け止めつつ、社会状況なども見据えた新たな工夫を模索するよう取り組みたいと思います。どういう工夫があるのか、やってみないと分からない部分もありますが、みなさんには取り組みに対するご理解をよろしくお願いいたします。
ラーメン屋でトッピングする、しないを迷ったことはないでしょうか。財布を考えて、結果「しない」を選択した経験は誰しもがあるはず。これは「ケチ」ではなく「節約」です。要はそれです。
(広報美郷 令和6年2月号より)