コラム「風」令和6年11月

新たな挑戦

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秋田県美郷町長 松 田 知 己 

 美郷町はこの11月1日をもって満20歳。大きな節目を迎えました。こうした節目において人は何かを考え、その考えに基づいて将来見通し、つまりは将来設計をするように思います。その設計パーツには、人生に関わる大きなことか、日常に関する小さなことかは別にして、大体何らかの「挑戦」があるのではないかと思います。

 私事で振り返ります。まずは大学入学の節目。私は大学でやってみたいことを考えました。最初に浮かんだのが、バイクで野山を駆け巡ること。そこで、それを将来設計に組み込んでバイトをし、バイクを取得。林道ツーリングや北海道一周などを楽しみました。次は就職の節目。県庁に就職した以上は、県庁でしかできない経験をしてみたいと考えました。それが何なのかその時点でははっきりしませんでしたが、5年後に海外研修制度が創設され、私は「これだ」と思いました。その後、私はそのチャンスに応募(挑戦)し、結果、約20日間、海外で農業視察研修を経験させてもらいました。

 こうした節目における考えやそれに基づく挑戦の積み重ねは、人の価値観に影響を与えることは申すまでもありません。美郷町の行政展開に少し挑戦的な取り組みが多いのは、そうした価値観がベースにあってだろうと思います。もちろん、一か八かの丁半博打 (ちょうはんばくち) のような判断はしておりません。しっかりと考えて挑戦しております。

 さて、美郷町は先月、しっかりと考えた上で、化粧品や医薬部外品の成分を開発・提供する株式会社テクノーブル様と、その分野での美郷雪華酵母の独占利用契約を締結しました。独占ですので、今後その分野では他社に提供しません。そして、日本酒や味噌以外への用途拡大です。ともに挑戦の領域です。今後5年間、研究開発は進められますので、ぜひとも良い研究成果が出て、美郷雪華酵母や美郷雪華、ひいては美郷町の存在感向上に繋がってほしいものです。このタイミングでのこのチャンスは「偶然という名の必然」、つまり運命と捉えたいと思います。そうした捉え方こそ、結果に繋がるための起点であると、私は信じております。

 私はクラシックも聴きますが、好きな作曲家の一人がベートーベンです。そのためか、契約締結式では私の頭の中で「ジャジャジャジャ―ン」というメロディが流れていました。第5番「運命」です(笑)。

(広報美郷 令和6年11月号より)

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